2024年4月29日(月)
めいめいが新たな境地に足を踏み入れる中、同じようにして前へ前へと足を運んでいるのに自分だけどうしてかその場でずっと地団駄を踏んでいて、一向に前進できない。
真夜中の砂浜を歩くのと同じような心地がする。
眼前に広がるのも、その背後も、右も左も周囲の全てが暗闇に封じられる。わずかな防波堤の灯台と月明かりの光がもれでているだけで、他に頼れるのは浜に打ち寄せた潮の波音だけ。
前に進んでいるのを確かめるにはあまりにも暗すぎる。ただひたむきに歩みを進めていると、砂を踏み締める音が微かに変わっていく。打ち寄せる波が異なる地形をかたち取り、湿り気を違わせ、確実に一刻前とは異なる地面を踏んでいることが分かってくる。
それこそが歩みを確かめる唯一の方法であり、春の暗闇で地団駄を踏むことに励ましを与える記憶とする。