A STAGE

「第n人称のセルフポートレート」に始まる、セルフヌードポートレートによる作品集。
”人称”と聞くと、接頭に自然数を当てはめた一人称、二人称、三人称などの形が思い浮かぶ。そのようなごく自然な発想から、”第n人称”の n には1に始まる自然数が当てはめられるのだが、その値によってこの作品の意味は異なる。n=1の時、つまり作者である私自身から見る場合や、n=3の時、つまり誰かに鑑賞される時の場合など。それにより作品の感想が異なるのは自明だろう。

しかし、「第n人称のセルフポートレート」は必ずしもn=1の時に作者自身が作品を見ているとは限らない。なぜなら、作中の被写体もが私自身であり、多重化された被写体の姿もが私であり、その分人的な個としての”私たち”による視点が織り交ぜられている。つまり、n=1の時でさえ、n=2ないしは3と同様の状態が発生する。日本語の文脈上、nの定義は1以上3以下となってしまうが、言語によりnに代入される値は無限に広がる。これと同時に、この作品に注がれる視点も、多重化された個の数に累乗し無限に広がることだろう。

私は、あなたでもあり、あなたは、”私たち”でもあるのだ。

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Self nude portrait No.2

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